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思い出話。



 ――2008年、6月。







サァァ……

「先ほどまで晴れてましたのに」
母の言う通りに傘を持って出て正解でした。母の予想は何故かTVの天気予報よりもよく当たります。
……それなのに何故、雨が降る前に帰らなかったのか。後悔先に立たずとはよく言ったものです。
確か今日は先生がお仕事で海外に行かれるとかで、ピアノのレッスンがお休みで。
久し振りに本を読んでから帰ろう。そう思って図書室に向かい、
……司書さんに揺り起こされたのは、陽が落ちた後でした。

雨の日はほとんどお客様がいらっしゃらないとはいえ、お店を放っておくわけには参りません。
「近道、ですの」
人通りが少ないから一人で行ってはいけないと、母に言われていたのですけれど、
普段はほとんど行く事のない公園を抜ける事に致しました。
今思えばこの選択肢は、彼と銀誓館が運命の糸で結ばれていたからかもしれません。


「……あら」
思わず声が漏れたのは、視界が霞むほどの雨の中、傘も差さずに立ちすくむ男性の後姿が見えたから。
近付いてみると黒いスーツは濡れて体にぴったりと貼り付いていて、突然の雨に困っているというよりただただ雨に打たれているという感じでした。

「いかがなさいました?」
彼は振り返りナァの姿を認めましたが、ご自分に声を掛けられたと思ってらっしゃらないのでしょうか――辺りをきょろきょろと見渡しました。
服装からサラリーマンかと思いましたが、学生服を着ていてもおかしくないと申しますか、顔立ちも華奢な身体つきも――さほど歳は変わらないようです。
「おうちはどちらですの?」
再度問いかけてみると、彼はこちらを見つめ、目を見開きました。
突然声を掛けられた事に対する驚きというより、何かにとても怯えているような。そんな印象を受けました。

「……か」
「え?」
「親父の差し金か」
口を開いた彼の言葉は、ナァには全く理解不能で。
彼は自嘲的な笑いとも、泣き笑いとも取れる表情を見せました。
その時のお顔は、今も記憶に焼きついています。
酷くお寂しそうで。お辛そうで。 ……助けて差し上げたくて。
「ええと、お父様? の事は存じませんが。このままではお風邪を召してしまいます」

「とぼけるな!」

突然怒鳴られ、今度はナァの方が驚いてしまいました。けれど、怖いという感じはございません。
怪我をした動物さんが、身を守る為に牙を剥いた時に似てらしたから。
「俺にはわかる、子供だろうと何だろうと、あなたがまともな人間じゃないってね。
 闇を纏う俺の姿が見えるのは、化物か、俺と同じような変な力を持つ連中だけなんだ!」

――闇を、纏う?

「魔剣士、さん?」
思わず口にしてしまいましたが、彼は不思議そうなお顔をなさいました。
「……え?」
「どちらの組織の能力者でいらっしゃいますの?」
「え……え? いや、確かに俺の実家は魔剣を継ぐけど、 ……組織? 能力者?
 俺の力を知ってるのか?」
尋ねても返ってきたのはあやふやな答えと疑問系。

「……」
「……」
何ともいえない微妙な空気が流れまして。
先に沈黙を破らせて頂きました。

「……雨の中でお話もあれですし、お店にいらっしゃいませんか?」
「店?」
流石にずぶ濡れで近くの飲食店に入るのも躊躇われたので、自結社にお連れする事に致しました。
素性の分からない方をお連れしたら玲音さんに怒られるかも……とは思いましたけれど、彼なら大丈夫、とよく分からない確信がございました。
まさか翌日には銀誓館に入学なさって、翌々日に入団届を頂く事になるとは、夢にも思っておりませんでしたけれど。
「はい、温かいお飲み物をお出ししますので」
「……少し、話を聞こうか」
一瞬怪訝そうなお顔をされましたが、すぐに頷いて下さいました。

          ――これが、明正さんとナァとの出会いですの。



「こちらですの。
 あ、申し遅れました。神農撫子、と申します」
「……捩木。明正捩木」
「捩木……白いお花と同じお名前ですね」
「知らない」
「ちょうど今が見頃ですのよ。馬酔木に似た形で――」
道中、他愛無い話をしながら何度も傘に入るよう促したのですが、彼はお店に着くまで雨の中を歩いてらっしゃいました。
……女性に対する彼の苦手意識についてのお話は、また機会がございましたら。





<以下、背後>
ネジーと2ピンが完成しました。
絵師様に感謝感激です(*ノノ)イケメンネジー……!
SSを発注するお☆様を確保するのが難しかったので自分でそれっぽいのを書いちゃいました。
文才無いのにごめんなさいっ; それから今回は本当にありがとうございました!>呪炎さん

posted by: 神農 撫子 | SS? | 12:01 | comments(2) | trackbacks(0) |

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コメント
 
2010/04/03 7:26 PM
Posted by: 撫子
失礼だなんてとんでもないですのー(首振り)
無理も無い、と申しますか。
むしろ明正さんはおうちの事も呪炎さんの事もたくさん背負ってお辛い経験たくさんしてらして――ナァの方が勉強させて頂きましたのよ。
明正さんと銀誓館を繋いでいた運命の糸に感謝、ですね(笑)
2010/04/02 10:42 AM
Posted by: 明正捩木
あの時は俺も精神的に追い込まれている時期でした…能力者のことを知らなかったとはいえ、団長に失礼な口を叩いていましたね。
それでも、今の生活があるのは全て団長のお陰でもあります。

団長に出会わなかったら俺は親父の重圧から解放されることは永遠になかったかもしれない…ありがとうございます(ぺこり)
いくら感謝しても、足りません。









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